- 自己チェックリストで確認する
多汗症かを簡単に見極めるために、自己チェックが有効です。以下に当てはまるか確認しましょう。
・1日に何度も汗で手や脇、足がびしょ濡れになる
・明らかな理由(暑さ、運動)なしに汗が噴き出る
・左右対称に汗が出る(例:両脇、両手、両足)
・寝ている間は汗が治まる
・10代前半~20代で症状が始まった
・家族に同じ症状の人がいる
・日常生活(仕事や学校、対人関係)に支障をきたしている
これらの項目に複数当てはまれば、多汗症の可能性が高いとされます。
- 発症頻度と期間を確認する
原発性局所多汗症と診断されるには、一般的に「週に1回以上、6か月以上続いている」という基準があります。この発症パターンが当てはまるかを振り返りましょう。
- 重症度を自己評価する
多汗症の重症度は「Hyperhidrosis Disease Severity Scale(HDSS)」などで自己評価可能です。
例)
・汗は気になるが日常生活に支障はない(軽症)
・汗で日常生活が多少不便(中等症)
・汗のために頻繁に着替えたり、社会生活が制限される(重症)
こうした自己評価も診断の手がかりになります。
- 皮膚科や多汗症専門外来を受診する
自己チェックで多汗症の可能性が高いと感じたら、医療機関で正式に診断を受けることが重要です。皮膚科や、多汗症専門外来がある病院が適しています。
- 問診による診断
医師による問診では、汗の出る部位、左右差、発症年齢、発症頻度、影響の程度、睡眠中の汗の有無、家族歴などが詳しく聞かれます。この問診だけで多汗症かどうか判断できるケースも多いです。
- ヨウ素デンプン試験(Minorテスト)を行うこともある
汗の出る範囲を正確に把握するために、「ヨウ素デンプン試験(Minor test)」という検査を行う場合もあります。
・患部にヨウ素液を塗布し、乾燥後にデンプン粉末を振りかける
・汗が出ている部分は色が黒紫色に変わる
・汗の量や範囲を可視化でき、治療計画に役立つ
軽症なら省略されることもありますが、手術治療(交感神経遮断術)を検討する際などには必須となることがあります。
- 血液検査や画像検査で続発性を除外
多汗症には、別の病気(甲状腺機能亢進症、糖尿病、感染症など)が原因となる「続発性多汗症」もあります。疑わしい場合は血液検査や胸部レントゲン、甲状腺検査などが行われ、基礎疾患がないかを調べます。
- 心理的要因の確認も行う
緊張やストレスが大きな引き金となる「精神性発汗」の場合、多汗症と診断されても、心理的支援やカウンセリングが併用されることがあります。このため、精神的背景の聞き取りも行われます。
- 診断基準に基づく最終診断
医師は問診、検査、自己申告を総合的に判断し、国際的に認められている診断基準に照らして「原発性局所多汗症」「続発性多汗症」「精神性発汗」などに分類して診断を確定します。
このように、多汗症かどうかを確かめるには、
まず「自己チェック」→「発症頻度と期間の確認」→「医師の診察・必要な検査」という流れで進めるのが基本です。