• 自律神経の乱れ(自律神経失調症)
     寒い状況でも汗をかく代表的な原因は、自律神経のバランス崩壊です。交感神経と副交感神経の切り替えがうまくいかず、体が必要以上に汗を出してしまうことがあります。ストレスや不規則な生活習慣が誘因になります。
  • 精神的ストレス・緊張(精神性発汗)
     寒さに関係なく、強いストレス、不安、緊張を感じると交感神経が刺激され、脇・手・足・額などに局所的な汗をかくことがあります。プレゼンや試験など、精神的プレッシャー下でよくみられます。
  • ホルモンバランスの乱れ
     更年期障害や思春期など、ホルモンの急激な変動があると、体温調節機能が不安定になり、寒いのに汗をかくことがあります。特に女性では更年期の「ホットフラッシュ」で頻繁に見られる現象です。
  • 冷えのぼせ(上半身だけほてる症状)
     下半身は冷えているのに上半身だけ熱くなり、顔や脇に汗をかく状態です。冷え性の人や血流障害を抱える人に多くみられ、冬でも顔汗・脇汗が止まらないことがあります。
  • 甲状腺機能亢進症(バセドウ病など)
     甲状腺ホルモンの分泌が過剰になると代謝が異常に活発化し、安静時でも体温が上がりやすくなります。このため、寒い中でも異常な発汗が起こる場合があります。動悸、体重減少、手の震えを伴うことも。
  • 糖尿病・低血糖症
     血糖値の異常(特に低血糖)により、交感神経が刺激されて発汗が誘発されることがあります。糖尿病患者やインスリン治療中の人に見られることがあり、冷や汗が特徴です。
  • 感染症や炎症反応
     風邪やインフルエンザなどの初期段階では、寒気を感じながら体内では発熱反応が始まり、汗をかくことがあります。寒気と同時に微熱、だるさがある場合は感染症を疑うべきです。
  • 薬剤の副作用
     抗うつ薬、降圧薬、血糖降下薬などの一部には、発汗を促す副作用があります。服用中の薬によって寒い環境でも汗をかきやすくなることがあります。
  • 肥満・過剰な皮下脂肪
     体内に脂肪が多いと熱がこもりやすく、寒い環境でも体温が上がりやすくなるため、それを下げるために汗が出る場合があります。軽い動作でも過剰な発汗が生じることがあります。
  • 寒暖差疲労(季節の変わり目)
     寒暖差が激しい環境にいると、体温調節機能に負担がかかり、必要以上の発汗が起こることがあります。特に秋から冬、冬から春にかけて多くみられます。

このように、「寒いのに汗が出る」のは単なる体質だけでなく、内科的・自律神経的・精神的な要因が絡んでいることが多いです。
改善には、原因を正確に見極めた上で、生活習慣の見直しや必要に応じた医療機関受診が重要になります。